テキストサイズ

飴と鞭と甘いワナ

第13章 5匙め


「じゃあ…俺は、…料理教室に参加してくれてありがとうございます」

相葉さんが参加してなかったら、今のこの時は訪れなくて

多分俺は自分を殺してあのまま生活してたと思う


「それは、お互いさまじゃない?」
相葉さんが笑う

「なら “別れてくれてありがとう“ もですね」
俺も笑う


繋いだ手をお互いが握り締めた


「まあでも、やっぱり…」


「「…大野さんに、感謝」」

「かな」
「ですね」

考えてる事は一緒

あの時、大野さんが住所を教えてくれなかったら

病院に行け、って言わなかったら

…大野さんが教室を開いてなかったら



ー…こうなる事はなかったんだから








最初に大野さんが言ってたっけ



砂糖の匙加減は大事

まずは小匙から少しずつ
足りなければ足していこう

入れすぎて甘くなりすぎても、しょっぱいよりは遥かにマシ

甘くて食えないもんはない!


そうだろ?
相葉ちゃん、それからにの


ー…どこかで大野さんが笑ってる気が、…した





All End


ストーリーメニュー

TOPTOPへ