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飴と鞭と甘いワナ

第13章 5匙め


「二宮さん」

「……」

何も言えなかった
早く、次を聞きたかった

きっとまた、相葉さんは俺の望む言葉をくれる




「俺と……お付き合い、して貰えませんか?」




ほらね、やっぱり相葉さんって凄い
いつも欲しい言葉を先回りしてくれるんだ


予想通りの筈なのに、視界が滲むのが止められない


「…で、二宮さん、返事は?」

分かってるくせに
俺の答えなんか聞く必要もないくせに


だから
返事の代わりに相葉さんにキスをした



「それ…反則だって」
相葉さんも俺に負けないくらい真っ赤になった


「…これが、返事です」
だけど俺もかなりいたたまれなくて


そりゃそうだろ

だってこんなの、二度と出来ないくらい恥ずかしい

二人で真っ赤になって照れるとか、まるで中学生みたいだ


繋いだ手はそのままに、どちらからともなくおでこをくっ付ける

重なったおでこから、好きって気持ちが伝わる気がした


「別れて良かった?」
相葉さんが訊ねる

「…それ、聞きます?」

「んじゃ、別れてくれてありがとう」

俺が吹き出したら、つられて相葉さんも吹き出した






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