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第2章 【cast2】星司
走馬灯のように、真央との思い出が頭を駆け巡る。
真央は一度も振り向かずにビルを出ようとしている。
「星司、具合悪そうだね」
背後から急に聞き馴染みのある声が飛んできて、俺はハッとした。
「具合悪そうだね、早退していいヨ」
後ろに、いつの間にか店長が立っていた。
腕を組んで壁にもたれた店長が、ニヒルに微笑んで俺を見ている。
「…早く」
店長が顎でドアの方を指す。
俺はまだまだ子供だ。
誰かに背中を押してもらわなきゃ、好きな女を追いかけることもできない。