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第2章 【cast2】星司




「私、仕事辞めたの」


真央が小さく呟いた。


「前ほど、お金が必要じゃなくなったから…」


「…うん?」

相変わらず俯いたままだけど、真央がゆっくりと話始めた。

俺は真央が話しやすいように優しく相づちを打つ。





「弟が、死んだの」




(………えっ?)






「うちはシングルマザーで、頼れる親戚もいないから、お母さんが私の高校までの学費と弟の入院費のために一人でガムシャラに働いて…」


「…入院費?」


「お母さんは、無理がたたって、私の高校卒業間際の頃に過労死して」


真央は話すことに一生懸命で、次第に早口になる。


「弟は何回手術をしても、完全に治ることはないって言われてたけど、どうしても失いたくなくて、

入院費と手術代のために今まで働いてきたけど…、



…………もう、いないの?」




真央が左手で俺のジャケットを弱々しく握り、右手で自分の両目を隠すように覆う。


「……もう、会えないの?」


子供のように問いかける真央に、俺は何も言えなかった。



 

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