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虞犯少年

第8章 累犯加重



「俺から逃げんな」



まるで呪文を唱えるように
悲しい呪文に惑わされそう。


目を逸らしても、両手で顔を包まれてすぐに私の視線は奪われた。嵐の瞳の中にうつる私はどううつっているのだろう。




「世界で一番好きだ」



嵐の世界は狭い。

そして、私の世界も狭い。


誰かに依存することが、こんなにも悲しいことだと思わなかった。痛くて、切ない。
この腕に愛はないけどその背中に手を回す。


寂しい人。ごめんね、
私はあなたを愛さない。








累犯加重

(嘘と罪を重ねた。)

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