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虞犯少年

第10章 隠し言葉



あれからバイトは辞めた。思ったよりもすんなり辞めることができたのは、やっぱり私のせいで評判が今以上に悪くなることを恐れたからだろう。

逆に今まで何も言ってこなかったのが可笑しいくらい。店長もいい人だったからな。言いたくても言えなかったんだろうな。

辞めたことに後悔はないけど、本音はもう少し頑張りたかったっていうのも事実。


お金の面で困るかもしれないと思っていたが、なんの支障はなかった。

普段からそこまで稼いでいなかったし、あまりお金もつかわないから親から貰えるお小遣いだけでもどうにかなりそう。


それに折られた携帯は嵐が一番新しいのを買ってくれた。ついでに嵐も同じのに変えたらしい。私が白で嵐は黒。GPSつきだったことに驚きは何もなくて嵐なら当たり前だとも飲み込めた。


携帯だけじゃなくても、私の為なら嵐は惜しみなくお金を出す。

どこにそんなお金があるんだろう?その疑問はあの大きい家を見ればすぐに吹っ飛ぶ。

今着てる服も気付けば上から下まで全部嵐に買ってもらった物だった。

鏡にうつった嵐好みの私は悲しそうでも嬉しそうでもなく、まるで人形みたい。

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