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虞犯少年

第2章 愛故の冷酷




「立花さんって、九条とうまくいってんの?」



いきなりそう話しかけられた。クラスメートである飯田くんから、興味津々といったような感じで。


彼の名前を聞いただけで顔が強張るのが分かる。



「え……なんで?」



この人は何か知ってるのだろうか。私と九条嵐との関係を。


別にうまくいってようが、いまいが私には関係ない。だって私は九条嵐の彼女じゃない。ただ一方的に"俺の女"扱いされて、周りは勝手に付き合ってるもんだと思ってる。

私だってそれを否定したいのに、しようものなら彼に殴られる。私は一度も自分を彼女だと受け入れたことなんてないのに体の関係はしっかりある。それも可笑しな話だ。



「んー…だって立花さんって、あぁゆうタイプと付き合うとは思ってなかったし」



……私だって、あんな人と関わることになるとは思ってなかった。彼が私を見つけなかったら、絶対あぁゆう人と関わりなんて持たなかった。

タイプだって、彼とは正反対の飯田くんみたいな爽やかな人がタイプなのに。

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