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BOXルーム

第12章 まりんと松

 すると、音だけ立派なスクーターに乗ってケンちゃんがやって来た。


「なにしてんだ?」と、松が声をかける。


「注文ですよ……ここのチームよく食べる。今度はシュウマイが欲しいって……行ったり来たり大変だからこれ乗ったのよ」


 ケンちゃんはバイクから降りると、後ろに積んだおかもちから蒸籠を取り出した。大きな体を揺らしながら階段を登ると、天井の板を外し、中に入った。


「あいつ、あの体でよく登れるなぁ……あの入口から入れるのか?」


「え! あそこからも入れるんですか!?」


「そう。部屋にはさっき俺達が出てきた所を含めて4ヵ所出入口があるの。まあ、2つしか知らないけど……」


 松が説明していると、ケンちゃんがノッシノッシと下りてきた。


「あ、このカップ持って行ってね」と、松は階段の隅に置いていたカップを渡す。


「わかりました」


 ケンちゃんは松からコーヒーカップを受け取ると、すぐにおかもちに入れた。


「てか、あのシュウマイ、市販されてるのを温めてわざわざあれに入れてんだろ」



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