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第12章 まりんと松

 松は普段やっているラジオ番組の語りを始めた。


 DJトークを初めて生で聴いたまりんは、喜んで手を叩く。


「マイF申請、一人目のまりんさん、聴いてますか? 今夜のオープニングチューンは、あなたのリクエストにお応えしましょう!! まずはこのナンバーからっ!! て、こんな感じでやってます。また、聴いたって下さい」


 松はおどけて見せると、照れ臭そうに頭を掻いた。


 まりんは大ウケしながら手を叩いた。


「聴く聴く! 今度、絶対聴く! リクエストもするよ!!」


「ありがとう!! まあ、かける曲は大人の事情で限られてるけどね」


 松がそう言うと、まりんは途端に口を閉じ、冷たい眼差しで松を見た。


 松は何かを察知したのか、慌ててこう言った。


「あ!! あの、情事とは言ってないからね、事情だからね……あの、お間違いの無いように……」



『ドドドドドド……』


 どこからともなくバイクのエンジン音が聴こえる。


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