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楔 ---KUSABI---

第2章 弐・違う世界

-----side ?-----

既に私には残っていないと思っていたけれど、
僅かに残っていた¨理性¨が、
襖を隔てた隣の部屋に眠る娘に対して、
ほんの一瞬、同情を覚え、キュッと胸が痛くなった。

けれど、行き付く所まで行き着いたこの身は、
これからの成り行きに、楽しみを感じずにはいられなかった。

痛みを凌駕する、高揚感。

目の前の主に捧げる新たな生贄。
上手く導いて、主の願うがままに。



・・・私に残された時間は、多くないのだから。

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