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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「よし、早いとこアビラの水ってのを持って来なくちゃな……キュウの元に行ってやるか」


 コウヤがそう言うと、莉子は純化を支えながら言った。


「私は後から行くから。二人で先に行って」


「まてよ、お前も感染しちゃってんだろ!? 無理せずに休め。悪化したら大変なことになる」とコウヤは村に残るように勧めた。


「そうですよ。無理は禁物です」とユングもコウヤの意見に賛成した。


 だが、莉子は首を横に振る。


「いや、今はみんなと闘いにいくほうがいい。大丈夫。人間同士では感染しないから」


「いや、そんなこと言ってるんじゃなくて……」


 コウヤが言いかけると、莉子は純化を見て、すかさずこう答えた。


「私がここにいたらお邪魔なのよ。大丈夫、まだ力はあるし」


「……足手まといになんなよ」


「なるようなら、自分から辞退するよ」


 莉子はそう言って、純化の杖を手に取った。


「純化、後でこれ借りていい? あんたの代わりに連れて行くから」


 純化は笑って頷いた。


「うん、ごめんなさい」


 そして、莉子の肩を借りて、純化は村長の家まで向かった。






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