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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 勇樹は鏡を球也に手渡した。


「向こうも無事だったようだ。ま、どうでもいいがな」


 確かに、どうでもよかった。


 周りの反応は「ぁあ〜……」程度だった。


 純化は腰を下ろし、ラッキオの手を握った。


「ねぇ、名前は?」


「……らっきお」


 ラッキオは恥ずかしそうに言った。おそらく、自分の名前を恥ずかしく思っているのだろう。


「じゃ、向こうの名前をやめて、ラッキオ……キオ……キヨ! 喜代ちゃんて、どう?」


 ラッキオは新しい名前「喜代」が気に入ったのか、満面の笑みを浮かべた。


「ねえ、この子、うちで預かっていい?」と純化は、ラッキオの肩をグッと抱いて言った。


「大丈夫なの? 今まで、地球上にいなかった子供だぜ?」


 輝は心配そうに言った。


「うん、まぁ、うちも今はよくわからない立場だから、ほっとけなくてさ。なんとかやってくよ」 


「たしかにねぇ、ちょっと前まで人間じゃなかったなんて、家庭裁判所でも、どう決断していいかわかんないでしょ?」


 莉子が言うと、勇樹が難しい表情を見せた。


「んんん〜、まあ、バレなきゃいいし、我々が考えたって、答えなんか出ない。」


 それに球也が応えた。


「じゃ、その問題もうまくいくように、この鏡にお願いしたらええやん。きっと、いい方向に導いてくれるで」


 その提案にみんな笑って称賛した。


 こうして、すべてが終わった。


 妖精の世界では4,5日だったが、現実の世界では、4時間と数分数秒。


 長くて短いあっという間の戦い。




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