
キラキラ
第31章 イチオクノ愛
すると金髪は、ドッペルゲンガーとはちょっと違うんだな、と呟いて、にこりとした。
「俺はね、この世界の緑を司る管理人なんだ。一部の人たちからは、緑の妖精って呼ばれてる」
妖精……?
ピーターパンの次は、ティンカーベルかよ?
ふざけてんのかよ、と、思いっきり不信感丸出しの顔をしてたのか、俺を見上げたにのが、ふっと笑った。
後できくと、自分と同じ反応を、俺がしてるのがちょっと面白かったらしい。
俺は、首を振って否定した。
「そんなの信じられるわけ……」
「信じるか信じないかは、その人の勝手だけど」
「………」
「他の四人は、別の世界にとんだから、否応なしに信じてるよ」
言われて、周りを見渡せば、四人とも苦い顔をしてる。
そうか。違う世界にとんだってことは、信じざるをえない状況だったんだろうな、と思った。
そして……俺も、自分のあまりに現実離れした体験に、もうどうでもよくなってきてた。
信じようが信じまいが、エライ目にあったことは真実だし……。
「…つまり、俺は、あんたの気まぐれにつきあわされて犬になった。そういうこと?」
「そゆこと」
正解というように頷かれて、はああーと一気に力がぬけた。
「……お疲れ様、相葉さん」
にのが、小さく囁いて背中をさすってくれた。
「……で?どうだったんだよ。嵐になって」
松潤が、冷静な声をなげると、
「最高だったよ」
金髪は、一言言った。
「あなたたちが作り上げてきた歴史に少し触れることができて、楽しかった。ありがとう」
お礼を言われるとこなんだろうか……と、複雑だ。
勝手に入れ替わったくせに。
「ちなみに。パラレルワールドへの扉はいつでも開けておくね。希望があったらまた呼んでもらえたらご招待するので、よろしくどうぞ」
「二度と行くか、馬鹿野郎」
松潤が吐き捨てた。
「にのは?」
「お断り」
にのはバッサリ。
「リーダーは?」
「……遠慮しとく」
リーダーはフルフルと首を振った。
「翔くんは?」
「結構」
即答。
四人にふられて、金髪は肩をすくめて、俺を見た。
