
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
一気に心細くなって、どうしたらよいか分からなくなった俺を、現実に引き戻すような、ジュンの力。
その温かな大きな手に、ふっと我に返る。
見上げれば、大きな目を優しく細めて、ん?という顔で俺を見つめてくれているジュン。
「あきらめるのは早いですよ。……ひとまず、この国の医者をあたってみませんか」
「医者……」
「そうですね。整った設備をもつ医者はきっと限られてます」
ショウも、力強い笑顔で頷いた。
そうしてジュンと競うように、俺の反対側の手をとった。
いつもならエロ王子ども!と振り払うとこだけど……何故だかそんな気にはなれなくて。
二人と手を繋いだまま、その場に佇む。
あったかい……
二人ともどうしてこんなにあったかいんだろ……。
手のひらも。
その心も。
優しさが身にしみて、心が温かくなる。
泣きそうな自分自身に驚いた。
俺は二人の手を、そっと握り返した。
恋敵を一緒に探す、だなんて、そんな不毛なことを引き受けてくれた二人に。
……ありがとう、と、呟いた。
市場で働く人たちに聞き込みをしながら、この国の医者を割り出していくのは、思った以上に大変だった。
そもそも、設備の整った医者という基準は、人それぞれなわけで。
果物屋の主人に、あの人は名医だ、と自信たっぷりに紹介されて行った場所が、設備が整っているとは思えないくらい古めかしい建物であったり、とか。
洋服屋のおかみさんに、この国一番、とすすめられて行ったら、産婆さんだったりとか。
さんざん歩き回ったが、めぼしい情報は得られなかった。
日も傾いてきたということで、続きは明日にしましょう?と、二人がかりで説得されて、しぶしぶ宿に帰った。
「お帰りなさい。お疲れ様でした」
部屋に入ると、小さな台所でよくもまぁこんなに用意できたな、という食事が、テーブルいっぱいに並べられていた。
カトリーナのような華やかな美しさは当然ないが、素人なりの愚直な温かみの感じるメニュー。
「……これ、フウマが?」
俺がぽつりと呟くと、いつも冷静な顔をしてショウのそばにいる男が、恥ずかしそうに微笑んで、頷いた。
「お口にあえばいいのですが……」
温かい湯気がたちのぼるスープを見て、俺はまた胸が熱くなった。
