テキストサイズ

キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


「お、うまそ。フウマ料理できんだ?」


ジュンがジャケットを脱ぎながら、くんくん匂いをかいで、腹へったー、と、笑顔になる。


「少しだけです。ショウさまは意外と好き嫌いが多いので、公務ででかけたときとかは俺が……」

「こら。いらないこと言うな」


ショウがむすっとした顔で、フウマをじろりと見た。
喋りすぎた、とばかりに肩をすくめたフウマは、俺たちに椅子をすすめた。

ほかほかと立ち上るいい匂いに、お腹が空いてることに、ようやく気づけた気がする。

だって……思えば、今日一日、道端ですぐに食べれるものしか口にしていないもの。

それも、食事をとる時間も惜しくて、昼すら抜こうとした俺に、せめてこれだけでも召し上がってくれ、と、ジュンがどこからか、大量のクロワッサンを買ってきてくれて。

俺が、黙ってそれらをかじってるのを見て、ショウとジュンも、食べてた気がする。


俺……



……フウマが用意してくれた、これらの温かな食事をみて、改めて自分の失態に気がつき、青ざめた。


一国の王子たちに、……俺、なんて食事をさせたんだろう……
しかもほぼ休憩なしで引っ張りまわして。

…………最低じゃない?


「姫……?」


うつむいて、なかなか食卓につこうとしない俺に気づき、ショウが声をかけてくれる。

俺は、そのままゆっくり頭を下げた。


「ごめん……。俺……私、自分のことしか考えてなくて。ずっと二人を引っ張りまわしてごめん……」

「なんだ、そんなこと……」


ショウはふっと笑って、椅子をひいてくれた。


「そのために来てるんです。気にしないでください」

「……そうそう。ずっと姫とすごせるなら、俺らは、何してようが嬉しいものです」


はい、喉乾いたでしょう?、と、水の入ったグラスを、手渡してくれるジュン。


ああ……この二人にはかなわない。


俺は、申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいになりながら、……いただきます、と、スプーンを手にとった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ