
キラキラ
第34章 バースト9
どうしたもんかな……
汗ばんだ髪の毛をかきあげながら、リビングに入ると、ソファーに横になってるかずと目があった。
俺らが、自室でコトに及ぶまでは、この家は誰もいなかったはずだった。
「帰ってたのか……」
冷蔵庫から水を出してグラスに注ぎ、一気飲みする。
「お取り込み中だったみたいだから……」
小さい声で言い、かずは目をそらした。
疲れた顔をしてる。
全力で、潤へコンタクトをとるべくチカラを行使し続けたはずで。
能力を使えば使うほど、体力精神力は削られる。
体力のないかずには、無理をさせたかもしれない。
悪いことをしたな……。
「ごめんね、翔さん」
謝ろうと思ったら、逆に謝られたから驚いた。
かずは、潤んだ目で俺を見上げる。
「なんだよ……かずが謝ることなんかないだろ」
「だって……翔さんとの待ち合わせまで俺たちが一緒にいたら、こんなことにならなかったもん……」
「……そうかもしれないが、それはかずたちのせいじゃないさ」
潤自らが、二人から離れたという。
かずたちのデートを邪魔しちゃ悪いから、という気遣いを汲んだという判断を、誰が責められようか。
ソファーに歩みより、かずの額に手をおいた。
色白の顔は、青ざめてみえる。
覇気のない瞳に、心配になった。
「……熱出そうだな。飯は食えたか?」
「……うん。相葉くんと食べた」
はぁ……と吐息をついて、かずはしんどそうに目を閉じる。
「……潤くんは?……なんか言ってた?」
「……なにも」
何を聞いても、なんでもない、ごめん、の一点張り。
ならば、ベッドの中なら素直になるか、と
抱いてみたものの、いつもより早く意識をなくす始末だ。
違和感を感じるくらいあっさりと眠ってしまうほど、体力が低下してる原因のひとつとして考えられるのは。
……チカラの暴走か。
