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キラキラ

第35章 屋烏之愛

ゴールした人間の待機場所に座った俺らの前には、知念と大野がいた。

知念は、待ちかねたようにくるっと俺たちを振り返り、

「お似合いだよ」

と、くすりと笑った。

……その笑顔に、悪意とかそういうものは何も感じられない。

俺は、どーも……と返すしかなかったが。
ふと、すごい顔合わせの現場にいることに気づき、一気に緊張した。

だって。
敵対するグループの頭が2人、この場にそろってるんだよ……やばいだろ。

そっと松本をうかがい見ると、松本は、さっきまでの機嫌のよい顔から一転して、無表情になり、どっかりとその場にあぐらをかいた。

大野は、我関せずといった感じに、どこか遠くに視線をやってる。

知念は、何も気にしてないみたいだけど、俺は沈黙がなんだかいたたまれなくなり、松本にあれこれ話しかけた。


「ねぇ……松本さんは、今日は何に出るか分かったんですか」

「縦割り」

「…とは?」

「リレー。最後の」


怖いから、単語を並べるだけの会話やめてほしい……。

俺は、そうですか……、とうなずいて、応援することを約束する。

すると、ふいに松本が、


「なぁ……」


と、大野に声をかけた。

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