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キラキラ

第35章 屋烏之愛

昼休み。

なんとなく松本や、みんなのそばにいたくて、俺は弁当を持って裏庭に向かう。

通り道である渡り廊下から、中庭がよくみえた。
ベンチなどで、談笑しながら、他学年の先輩方がパンを食べてる。


…………相葉が中庭で、那須……って人を見かけたって言ってたよなぁ……


弁当箱をぶらぶらしながら、ふと思った。


大野と松本の間に、会話なんてものは成立しないなんて、勝手に思っていたけれど、思いのほか話が通じていた。
一人の人物に関して、だ。
那須とは、いったい、誰なのか。

興味がないがゆえに、他の一年のクラスの連中の名前までわからないから、そいつが、一年なのかそれとも上級生なのかも謎だ。


ただ……その名前を聞いた瞬間に、顔色をかえた大野が気になる。
あんなポーカーフェイスのつかみどころのない人が、あれほどのわかりやすい反応をした。


……相葉にきいたら教えてくれるだろうか。


ぼんやり思いながら、何気なく反対側に視線をやると、中庭のなかでも、木々の陰で一番外から見づらい場所に誰かが座ってるのが見えた。
いや、正確には、足だけが見えた。

俺の視力は両目とも1.5を誇る。

その視力をもって感じた違和感。



……バッシュなんて。体育大会で履くか?


あれは内部の生徒ではない。

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