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キラキラ

第37章 寵愛一身


二年生が進路指導の関係で、俺たち一年より帰りが少し遅いらしい今日。

松本とファーストフードで待ち合わせしていた俺は、店の端っこでシェイクを飲みながら、携帯ゲームを始めた。

イヤホンを耳につっこみ、デジタルの世界に身を投じる。
外界と遮断された状態で、うつむきながらしばらく無心になって、指を動かしてると、ふいに、目の前の席に人影を感じた。

松本だと信じて疑わない俺は、早かったですね、と、いうつもりで笑顔でパッと顔をあげて……固まった。


……誰


目の前にいるのは、松本ではなく、茶髪ロン毛の細い男。
眉毛は細く目線は鋭い。
大きくあけた胸元からは、いつの時代?というような金のネックレスがみえた。
なにも入ってないであろう、ぺちゃんこの鞄を脇に抱えて。

風体は、立派なヤンキーだ。

斜にかまえた姿のこいつを、俺はまじまじと見つめた。

制服のカッターシャツなんかは、どこの学校も似たり寄ったりだが、パンツみえてんぞ、というレベルで腰ではいてるズボンはグレーだ。

……てことは、俺たちの学校の生徒ではない。



「あのさ……おまえ二宮ってんだろ。ちょっと顔貸してくんない」


低い声に、目を見開いた。



は?!俺??


イヤホン越しに相手の声が聞こえ、急にドキドキしてきた。


俺に用事?
こんな強面が?

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