
キラキラ
第37章 寵愛一身
でも、そんなの……ついていく義理はないし。
俺に用があるなら、ここで言えよって話だろ。
……だいたい、今ここを離れたら、松本とすれ違うじゃん。
俺は、キッパリと首を振った。
「……人と待ち合わせしてるから無理」
だが、そう断ったとたん、そいつが椅子を無言で蹴り飛ばした。
ガタン!という大きな音に、ざわざわしていた店内が、一瞬しんとなった。
何事かと、興味深い視線が、あちこちからつきささる。
「…………」
「…………」
そいつが、じっと見つめてくる。
俺もじっと見返した。
目付き悪ぃやつ……
無言の圧力をしばらく受け止めてると、
「……少しだから。来いってば」
そいつが、またぼそっと言った。
……マジかよ……
俺は頭を抱えたくなった。
断り通したいけれど……こいつ、しまいには暴れだしそうだな、と思った。
ファーストフードのテーマソングであるBGMだけが、やけに大きく聞こえた。
