
キラキラ
第37章 寵愛一身
だが、予想に反して、そいつは学校の手前にある児童公園に入っていった。
………ここ…?
あちらの学校の内部という、完璧なアウェイじゃなかったことに、いったん胸を撫で下ろす。
だが、なんの用事だかわからない以上、安心はできない。
俺は用心深くそいつのあとについて、公園に足を踏み入れた。
サクっと乾いた土の音がした。
なんだか懐かしい感触だ。
大きな木々が生い茂る小道をぬけると、ちいさな広場と、遊具と……ベンチ。
「……連れてきたぜ」
ロン毛の言葉に、そのベンチから誰かが起き上がった。
体はあまり大きくないけど、半袖をさらにまくりあげたカッターシャツからのぞく腕は、恐ろしいほどたくましい。
これだけ筋肉のついた腕を初めてみた。
……こんなのに殴られたら、歯が二、三本なくなりそうだ。
俺が、じっと黙っていると、そいつが手招きする。
「おまえ、ちょっとこい」
「……いやだ」
そんなもん、いきなり暴力を振るわれるかもしれないやつの近くに、のこのこ近づくわけないだろう。
おれがキッパリ断ると、その筋肉マンは、ふっと微笑んだ。
