
キラキラ
第37章 寵愛一身
それから二日間何もなかった。
用心のために、松本が毎日家まで送ってくれたけど、准一の姿をみることは一度もなかった。
このまま、あきらめてくれてたらいいのに…。
しつこそうなあの雰囲気じゃ無理かなぁ、と、憂鬱に思いながら、迎えた金曜日。
今日は、明日には帰阪してしまう光一さんが手料理をふるまってくれるというから、俺はとても楽しみにしてた。
学校が終わったら、そのまま松本の家に行く段取りだ。
母親に、今日は遅くなると告げ、俺はうきうきして家を出た。
暴走を恐れて俺に触れるのを控えていたなんて、案外と可愛らしい理由をもっていた松本は、開き直ったのか、ここ最近は、以前と同じくらいスキンシップが激しい。
ほかの連中がいる前で、キスしようとしたから、それはさすがにパンチしたけど。
そんな、大好きな人と夜までずっと一緒にいれるなんて。
スキップしそうになるのをこらえながら、改札をぬけ、いつもの電車に乗り込む。
ドア近くにたち、イヤホンを耳に突っ込んだとき、その手を誰かに握られた。
「…………?」
反射的に腕を振り払おうとしたけれど、できなくて。
ばっと顔をあげ、俺は凍りついた。
「おはよう」
俺の手を握り直し、准一は爽やかににこりと笑った。
