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キラキラ

第37章 寵愛一身


濃厚な口づけのせいで、足腰が立たない。

松本に手を引かれてなかったら、階段を踏み外していたかもしれない。

ふらつきながら、松本の部屋に通され、まっすぐにベッドに連れていかれた。

さぁ、今からしますよ、という感じが生々しくて、俺は、恥ずかしくて顔をあげれない。

どういう顔したらいいの……


「座って」


松本は、うつむいたままの俺を、ゆっくり座らせた。
そしてその隣に自分も腰かけた。

繋がれた手に力がこめられて。


「……いいか?」


もう一度聞かれた。

ドキドキするけど。
緊張するけど。
恥ずかしいけど。


……なんだろう。准一にふりまわされたからかな。
それともその前の、本屋で告白事件からかな。
それとも、俺に触れるのを我慢してたとか、可愛いこというからかな。


あんなに怖じ気づいてた行為を、受け入れたい、と思った。
なによりも、松本に抱き締めてほしくて、触れてほしくて、俺だけを見てほしいって思った。


「……はい」


こくりと頷く。


「…………」


松本は、緊張しているような顔をゆるめ、ふわりと微笑み、俺の頬に手を添え、再び深いキスをした。

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