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キラキラ

第38章 バースト11

分厚い雪雲と、ふり続く牡丹雪のせいで、夕方だというのに、なんだか薄暗い。

朝はぐちゃぐちゃだった足元も、降り続く雪のせいで、シャーベット状から固形の雪にかたまりつつあり、地面を踏む音も、びちゃびちゃからサクサクという音にかわってきている。

この調子だと踏み固められた道路は、明日には凍結してしまい、転倒にも気を付けないといけなくなりそうだった。

傘をさしながら、おっかなびっくり歩いている歩行者に紛れ、俺も靴が汚れないように歩いた。


……俺は明日は休みだけど、智兄が大変かも。


思いながら家に帰ると、リビングは暗く、朝、俺が出ていったときのままの状態だった。

唯一、シンクに、かずが食べたと思われるパンの皿とマグカップがおいてあり、彼がきちんと昼ごはんを食べたことを物語ってる。

俺は、暖房をつけ、手早く温かいカフェオレを入れてトレーにのせ、かずの部屋をノックした。


…………


返事がない。

俺は、そっと扉をあける。
すると、小さな猫背がさらに小さくなって、机に突っ伏してるのがわかった。

足音を忍ばせて近づくと、かずは、シャーペンを握ったままうたた寝してる。


固く閉じた瞳。
俺が入ってきたことにも気づかない。


…………頑張れ……


俺は、祈るような思いで、床におちてるブランケットを拾い、そっとかずの肩にかけた。

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