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キラキラ

第38章 バースト11


増田は、ピンク色に髪を染めた一見派手に見える男だが、その性格は真っ直ぐで非常に真面目な人物だ。

初めてゼミで一緒になったときは、チャラチャラしたやつだな、と警戒したものだ。
ところが、その人柄がわかるにつれ、一緒につるむことが多くなってきた。
いまや大切な友人の一人である。

増田は、とても人懐こく、先輩や教授の懐に入り込むのがうまい。
俺にはない部分だから、うらやましかった。


「なぁー飯行こうぜー」

「……今度な」


かまってー、とばかりに、まとわりつく増田を、のらりくらりと適当に相手をしながらパソコンにむかう。

今日の集まりは、一ヶ月後のプレゼンの準備。
時間があるようでないのだ。


「お前も、早くその資料まとめろよ」

「へーい」


じろりとふり仰ぐと、増田はちょっと肩をすくめた。

そうして、ほかの連中とも作業をすすめているうち、次第に激しくなってきた雪のせいで、さすがに交通機関にも影響が、という情報がでた。

そのため、ゼミも早めに切り上げることになった。


「なぁ、翔。ちょっとだけ飯いこーよ」

「……雪だぞ」

「いーじゃん。ファミレスでいいから」


なおも食い下がってくる増田を、俺はやんわり窘める。

「……すまん…しばらくは無理だな」

「なんで?」

「受験がある」


すると、俺の家の事を少しだけ知っている増田は、あ、そっかぁ……と、頷いた。


「そーいや、かずくん受験だったか」

「そう。少しでもサポートしてやりたいからさ」

「……じゃあ、かずくんが無事決まったら、絶対行こうな!」

「わかったわかった(笑)」


増田に何度も念をおされ、苦笑まじりに頷いた。

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