
キラキラ
第38章 バースト11
コトコトと沸く湯気に加え、クリーミーな美味しい香りが漂ってきたころ、リビングの扉が開き、かずがひょこりと顔を出した。
「……翔さん、おかえりなさい」
「おう、ただいま。おまえヨダレたれてたぞ」
「え、うそっ……」
「嘘」
にやりと笑って見せると、かずは、もぉ……と、言って頭をかいた。
「寝ちゃってた」
「いいんじゃね?昼寝も大事だ。なんか飲むか?」
「翔さんのミルクティーがいい」
「了解。うまいのいれてやる」
「やった」
俺は、パソコンを閉じ、スツールから立ち上がる。
電気ケトルのスイッチをいれ、水切りかごのかずのマグカップを手に取った。
せっかくだから、ティーバッグじゃなくて、葉からいれてやろう。
俺が茶葉を蒸らしてるあいだ、楽しそうに待ってたかずは、背伸びをしながら窓の外を眺めにいき、その景色の変貌ぶりに、うわぁ……と、驚いたような声をあげた。
「なにこれ、えぐ。こんなに降ってたの?」
「昼からな。電車とまるかもって情報でたから俺も大学は早く切り上げてきたんだ」
「……智さん、帰れるかなぁ」
「どうだろうな……ほら。熱いぞ」
「ありがと」
自分のぶんの紅茶もいれて、一口含む。
俺はかずと一緒に、軽い菓子を食べながら、雪の降り続く空を見上げた。
