
キラキラ
第38章 バースト11
「最初は戸惑っていらっしゃった大野さんも、この動画をお見せしたら、協力する、と申し出てくださいましたよ」
ふっと笑ってそいつはスマホをしまう。
「…………」
……違うだろ。
俺は、怒りが沸点に達する自分を感じてた。
違う。
協力したわけでもなんでもない。
つまり智兄は、俺らの盾になってくれたんだ。
俺らが危険な目にあうのを回避するために。
自分がここに来ないと、俺や潤がターゲットになると思って……!
ぎりと歯を食い縛った。
自分の周りの空気がかわったのを自覚する。
「…………!」
頭のなかで警鐘が鳴る。
ここでチカラを解放したら智兄の努力は水の泡だと。
こんなやつらに俺らの能力みせてやる必要はないって……!
だけど!!
ふわりと髪が浮いた。
目の前の男が、にやりと笑う。
許さない……!
俺は、チカラを解放しようとした。
全てをぶっ壊す、そう思った。
そのとき、ソファーから、弱々しい声があがった。
「しょ……ぅ!だめっ」
