
キラキラ
第38章 バースト11
苛立つ俺とは対称的に、そいつは、眉をぴくりと動かしただけで、その馬鹿力でゆっくりと俺の腕をむしりとった。
「ほんとうですよ。大野さんはとても頭がいいですね」
乱れた襟元を整えてる態度が余裕綽々で、ムカつく。
「…………」
「……彼は少し話し合いをしたら、素直についてきてくださいました」
話し合い……?
「そんなわけ……」
ない、と、俺が怪訝な顔をしたら、そいつは初めて挑戦的な笑みを浮かべた。
「あなたと……一緒にいた彼。お二人とも能力者なのでしょう?」
「…………」
ドクンと心臓が鳴る。
落ち着け。
俺らをつけまわしていたのなら、それくらいの予備知識は入ってるだろう……
しかし、あえて肯定する義務はないと思った俺は、
「…………違うといったら」
と、相手の出方をうかがう。
すると、ふふっと微笑んだ彼は胸ポケットからスマホを取り出し、画面を撫でてから、こちらに向けた。
「……ダーツの矢を弾き飛ばしたのは貴方だとお見受けしましたが」
「…………!」
息をのんだ。
そこには、隠し撮りらしき乱れた動画。
潤を引き寄せながら、手も触れずに飛んできた矢を弾く俺がうつっている。
あのときに、潤にちょっかいをかけてきやがったのはこいつらだったのか……!
