
キラキラ
第39章 バースト12
英語の講師として採用されたカホは、実は帰国子女だという。
英語はペラペラで、高学歴で、美人。
おまけに、授業も上手だということで、カホは初日から塾で注目の的となった。
生徒から質問攻めになっているカホを横目に、俺は、これ幸いに、と、早々に帰宅するため職員室を出る。
永遠に質問受けてりゃいい。
だが、
「あ!大野先生!待ってください!」
彼女の大きな声が俺の足をとめさせた。
俺は、内心、舌打ちしながら、振り返る。
生徒たちのまえで、不機嫌な顔になるわけにはいかないし、まして、こんな大勢が見てる前でガン無視してでていくこともできない。
「………なんですか」
作り笑顔で、聞いてやると、
「ちょっと聞きたいことがあって。少しだけ時間いただけませんか」
そうくるか。
ここで、嫌だと言えたらどんなにいいだろう。
俺が黙ってその場でしぶしぶ頷くと、カホは満面の笑みで、周りの生徒たちにごめんね、と手を合わせて荷物を抱えてこちらに走ってくる。
「あの子たちはいいんですか」
カホの周りに群がってた生徒たちが、こちらを名残惜しそうに見ているから、言外に非難の色を散りばめたつもりが、
「いいんです。授業と関係の無いプライベートな質問ばかりだったから。とりあえず出ませんか」
「…………」
俺はため息をついた。
完全にカホのペースだ。
