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キラキラ

第39章 バースト12


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だが、数日後、向こうからその答えはやってきた。

バイトを終えて、店の外にでると、待ち構えていたかのように誰かが駆け寄ってきた。

何気なく振り返り、ぎくりと顔が強ばる。



「こんにちは」


涼やかな声で、微笑んでる女性。

忘れもしない。
翔と店に来たあの女だ。


「………………」


無視したい。
胸くそ悪い。


………だけど、悲しいかな、俺は、この人と知りあいでもなんでもないのだから、いきなり無視するのもおかしいんだよな…………

従って、俺はつとめて機械的に応対した。


「…………どちらさまですか」


ところが、目の前の人は、余裕の笑みを浮かべて立ってる。


…………なんなんだ。


小柄な女性であった。
栗色の髪はきれいに切りそろえられていて、格好も派手ではなく、清潔感がある大人しい印象だ。
だが、大きな瞳は、逃がさないとばかりに、真っ直ぐに俺をみつめてる。

無言で喧嘩を売られてる気分になって、相手にするのはやめよう、と踵を返しかけた。

すると、彼女がふいに口を開いた。



「私、大野翔くんを好きになったって言いに来たのよ」


「…………は?」


思わず振り返る。

彼女は、悠然と微笑んだ。



「あなた、翔くんの今の恋人でしょう?」


「………っ」


ドキンっと心臓が鳴る。
同時に、キンと激しい耳鳴りがした。

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