
キラキラ
第39章 バースト12
「あれ、例の人?」
かずは、俺が会っていたのが、潤に接触したカホのことだと分かってる。
俺は、頷いた。
「そうだ」
とたん、かずの顔が泣き出しそうに歪む。
「……二人で会わないって、潤くんに言ってなかった?……言ったよね?」
「………ああ」
………言ったよ。確かに。
俺は認めながら、泥沼になっていってる状況を感じてた。
潤だけを愛してるのに、どうしてこうなっていくんだろう。
「嘘つき!だから、翔さんは脇が甘いって言ったんじゃん!!」
かずが怒鳴った。
表情も視線も痛いほどに真剣で……受け止めきれない俺は思わず目を逸らした。
こんなに怒ってるかずを見るのは、出会って初めてかもしれない。
これほどまでに、芯の通った声が出せるんだと、驚くほどに強い。
「……すまん」
「違うでしよ?謝る相手違うよね!?」
すかさず否定されて、俺はグラスに目をおとした。
帰り道に、1度だけデートを、とのぞんだカホに、二度と俺らに近づかないことを条件に…さらに、母さんにも、別れたと言え、と約束させたうえで、了承してやった。
そのときに喜んだカホが俺に飛びついたところを、かずにみられたのだろう。
かずが見たのなら、相葉くんも見てる。
俺は、ため息をつく。
後日、1度だけデートをすることになってる、と、かずに言ったら、殺されそうだ。
………こうなってくると、その判断も正しかったのか分からなくなってきた。
