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キラキラ

第39章 バースト12


「……潤くんが可哀想だよ…」


ポツリとこぼすかずは、今にも泣きそうだが、それでも泣くまい、と、懸命に耐えてるのがわかる。

俺は、そんなことは百も承知だと言いたいのをこらえる。


「……分かってる。」

「分かってない。潤くんを大事にしてる翔さんのことだから、何か理由があるんだろうなとは思うよ?でもさ、もっと違う方法があるんじゃないの?」

「…………」

「心配かけまいとして、黙ってそういうことされる方が、後から知ると、倍、悲しいんだからね」


ぽんぽん言い返してくるかずは、異常に強い。

……そういえば、かずと相葉くんとの歴史に、かつてそういう事があった気がする、とどこかで考えていたら、我慢できなくなったのか、かずが、真珠のような涙をポロリとおとした。

ドキリとする。


……これは、俺がやっぱり間違えてるのか。


何を言ってもただの言い訳になりそうで、ぐっと、口をつぐんでいると、



「…………あんまり翔を責めないで?」


穏やかな声がその場に投げられた。


「智兄……」

「ただいま」


困ったように眉をさげた智兄がリビングの入口にたっている。
その周り全てを穏やかな空気にかえていってくれるような存在感に、俺はホッと息を吐いた。

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