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キラキラ

第39章 バースト12



翔は俺をぎゅっと抱きしめたまま、俺の耳元で呟くように言った。


「潤……ごめん」

「……………」



顔は見えないけど、声だけでどんな顔をしてるか分かる。



「………余計な心配かけたくなかっただけなんだ」

「……………」


翔の肩に頬を寄せる。
なで肩なのに、筋肉質だからわりとゴツゴツしてるんだよな。



「あいつが……その、一回だけ俺と出かけたいと言って……それ以降はつきまとわないっていうから」

「…………」



そんなわけないじゃん。
翔って悪い女に騙されるタイプだよね。




「だから…………」

「…………」



…………不思議だな


しどろもどろとしてる翔の言い訳を、ぼんやり聞いてるうちに、どうでもよくなってくる。

翔のあったかい胸に包まれると、冷えきってた心が、まるで氷が溶けるように開かれてゆくのが自分で分かった。

確かに怒ってたはずなのに、悲しかったはずなのに。


…………これが惚れた弱みってやつ?

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