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キラキラ

第39章 バースト12


「おはよう。ごめん、朝早くから」

『起きてたわよ。なぁに?なんかあったの?』



…………え、やば



すぐに、画面にうつる女性が翔のお母さんだと分かった。

慌てて離れようとするが、翔が俺を抱きしめる腕を緩めないせいで、身動きとれない。
というより、翔がチカラも使ってるのか、俺の体は全く動かなかった。
それは、この場にいろ、と無言で指示されているのと同じで、俺は半分パニックになった。


なに……?!ダメじゃん!俺なんかがこんな風にしてたら!


画面の上方に、翔の顔がうつってるウインドウがある。
幸い、抱きしめられてる俺の姿はうつってない。
離れるなら今しかない。



「ちょっと……!翔!」


小声で、離して、と、訴えるが、翔は涼しい顔をして、母親と喋り続けた。



「父さんは?」

『まだ寝てるわよ』

「………悪いけど起こしてきてくれる?」

『なぜ?』

「ちょっと報告したいことがあって」

『……?……わかったわ』


電話越しに、あなたーと言いながら翔のお母さんが歩いてる気配がする。


俺は再度小声で訴えた。



「翔…!なに考えてんの、離してってば!」

「離さない」


だが、翔はガッチリ俺を抱きしめたままビクともしなかった。
その真剣味を帯びる声に驚いて顔を見上げると、翔は真面目な顔をして、空中に浮いたスマホの画面を見つめていた。

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