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キラキラ

第39章 バースト12


沈黙が怖い。


針のむしろとはこのことか。
心臓が痛いくらいに鳴ってる。


俺が細く息を吐きながら黙って俯いていると、


『お名前は?』

「………」


その沈黙から冷たくあしらわれる覚悟だったのに、予想外の穏やかな声に、思わず顔をあげた。

目の前に浮いてるスマホの画面には、翔のお父さんとお母さんがうつってる。
彼らは戸惑いと興味の表情のみで、落胆や軽蔑の色がないことに気がつく。
それらに背中を押された俺は、ペコリと礼をした。


「はじめまして。松本潤です」


それでも指が、手が、足が震える。
罵倒されたら、どうしよう。
別れろと言われたら、どうしよう。


すると、翔が、大丈夫だ、というように俺の手を温かく握り込んだ。


「俺の大事な人だよ。父さんと母さんにはもっと早く紹介すべきだった」


翔は、キッパリ言い切った。
すると、目をまん丸にしたお母さんが、きゃっと笑った。


『潤くんっていうの?可愛いじゃない』


翔のお母さんが発した言葉に、俺は目を剥いた。

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