
キラキラ
第24章 バースト5
その日、学校に行っても、ずっとそわそわして心ここにあらずといった自分に、雅紀が、本気で心配してきた。
どーしたの?
なんか悩み事??言ってよ!聞くから!
一生懸命な眼差しの雅紀に、
「翔にあうのが楽しみだから」
とは、さすがに恥ずかしくて言えなくて。
ちょっと風邪気味だから…と、嘘をついた。
嘘も方便だ。
でも、それならば、と、雅紀は、自販機でホットレモンを買って差し入れてくれたり、と、俺の体をとても気遣ってくれた。
ほんといいやつだ。
罪悪感が募って、思わず本当に具合が悪い演技までしてしまった。
「熱は…ないみたいだね」
俺の額に手をおく雅紀に、心のなかでごめん、と呟いた。
五時間目。
ぼんやりと英語の授業を聞き流しながら、窓の外を見つめる。
朝に、チラチラ舞っていた雪は、今はやみ、冬特有の低い曇り空になっていた。
風が強い。
翔は、そろそろ試験は終わって帰ってるだろうか。
俺は、頬杖をつき、翔に会ったら、なんていおうか考えた。
お疲れ様? かな、やっぱり。
受験が終わったのだから、これからは気にしないで連絡もとれる。
声が聞きたかったら電話して。
会いたくなったら、会いに行ってしまおうかな。
もちろん遊びにも行ける。
どこにいこう。
ゆっくり、買い物とか行ってみたい。
なんなら、俺のチカラで、遠い地にだって日帰り旅行できちゃうかも。
……もちろん合格ありきの話だが、翔なら問題ないと思ってる。
机に伏せて目を閉じた。
翔は、楽しみにしてくれているかな。
……ほんと。どんだけ、彼を好きなのだろう。
