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sugar-holic2

第11章 約束を叶えるために

倉田くんの腕を引っ張って足湯に向かうと、そこには数人の男女がいた。

皆、向かい合ったり、隣同士で話をしながら足湯を楽しんでいる。

二人で並んで座れるスペースが空いていたので、そこに腰掛けた。

爪先を浸けると、お湯は適度に温まっていて気持ちいい。

そのまま足を浸していき…

「あ、結構深い」

足湯の深さに合わせて浴衣の裾をつまみ上げると、倉田くんが慌てて声を上げた。

「ちょ…!」

「え?」

声の荒さに驚くと、倉田くんが目線で何やら訴えていた。

「上げとかないと、裾濡れちゃうよ?」

それに膝より下だし。

そんな慌てる事でもないでしょ?

「…ったく!!」

しかめ面で舌打ちをすると、倉田くんも裾を掴んで足を入れた。

「あんまり力いれて掴んでると、浴衣に皺がよるよ?」

「いいんだよ、これで!」

もう。何でそんなに意固地なんだろ。

せっかく温泉地に来て、楽しんでるのにな。

どうせならいい気分で過ごしたいのに。

…どうしたらいいんだろう?


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