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sugar-holic2

第11章 約束を叶えるために

「あ~、気持ちいい。じんわり効いてくる感じ」

わざとらしいくらいの言い方をして笑いかけても

「そうですか?」

…何でそうやって斜に構えるのよ!?

ふぅ、と小さく息をつくと、真向かいで足湯を楽しんでいる60代くらいのおじさんと目があった。

「お姉ちゃん、そこの玉砂利の上を歩くともっと効くよ?」

おじさんが指差す所には、『湯歩道(ゆ~ほどう)』と書かれた看板があった。

見れば、足湯をしながら歩く小さな回廊になっていて、床には黒い玉砂利が埋め込まれている。

「あ、ありがとう」

返事をすれば、にこにこ笑みを返されて。

え…と、やらなきゃダメな雰囲気なんだけど…?

意を決して立ち上がると

「じゃあ、行ってきます!!」

お湯の中を、回廊に向かって歩いていく。

何かさ、倉田くんが呆れてるのが分かるんだけど!!

何でうまくいかないんだろ?

浴衣の裾が濡れないように膝まで捲り上げると、玉砂利の上を歩き始めた。

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