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sugar-holic2

第14章 違う声が聞こえる

「それって何だよ」

はぁ…とため息が聞こえた。

あきれた?引いた?

だけど、ずっと思っていた事だよ?

自信をもって「彼氏です!!」って言えないのも。

本気で好きにならないように、どこかで一線引いてるのも。

全部、それが引っ掛かっているから。

「…やっぱり根本からか」

低い声で、ぼそりと呟かれた。

「こっち向く気はない?」

だって…倉田くんを見たら、絶対流されるに決まってる。

首を振って断ると、自分を抱き締める腕に力を入れた。

「分かった」

倉田くんが動いたせいで、水面が揺れる。

水の揺れに圧されて、湯槽の縁に手をかけると

「それならずっとそっち向いてて」

そんな言葉と共に、両手を縁に押し付けられた。

「え…んっ!!何…っ!!」

倉田くんと湯槽の間に挟まれるような体勢で、身動きがとれなくなる。

驚いて首だけ曲げて後ろを振り向くと…

「どうしたらいいか、教えてやるよ」

不敵な笑みを浮かべた倉田くんと目があった。

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