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sugar-holic2

第16章 酒の力を借りなくても

倉田くんが眉をひそめたまま頬杖をついて、ぼそりと呟いた。

「…それってつまり」

その声の低さと固さに、思わず身構えてしまう。

「あ、別に今すぐどうしろって言う訳じゃないからね!」

慌てて倉田くんの言葉尻にかぶせて話して…

だけど、自分でも思う。

これは…保険だ。

「ただ…気持ちまで持っていかれて、はいサヨナラじゃ」

例え別れる事になったとしても。

あらかじめ分かっていれば、ダメージが少なく済むはずで…

「すぐに立ち直れるほど、若くないんだよね」

そう言って、笑いを浮かべる。

そうなんだよ。

別れたからすぐに別の人に心が動けるほど、軽くなれないんだから。

すると、頬杖をついたままの体勢で、私を見て口元を歪めると

「そんなの、トシだからとか関係ないんじゃ」

「トシって言ったな!?」

確かに年齢の事は言ったけど!!

若くないって自覚もしてるけど!!

だからって倉田くんに言われたくないんだけど!!

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