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sugar-holic2

第16章 酒の力を借りなくても

怨みを込めて睨み付けると、倉田くんは少し怯んだように頬杖を外し

「そんな…目ぇ据わらせて怒るなよ」

そして、自分の空いたお猪口にお酒を注ぎ、私に瓶を差し向けた。

ん?目、据わってる?

「だって酔ってるもん」

唇を尖らせて、ふて腐れると

「じゃあ、もう止めときます?」

「飲むよ!?」

瓶を片付けられそうで、慌てて返事をすると、倉田くんは笑みを浮かべて注いでくれた。

とくとくと透明な液体で満たされていく。

注ぎ口を見ながら、問題を喚起した。

「…で、どうなの?」

「何が?」

さらりと答えられて、いらっとする。

「ねぇ、私の話、ちゃんと聞いてた?」

「聞いてますよ?」

「だったら」

ちゃんと答えて。

そう言おうとしたのに。

私を見る倉田くんの目に、居竦まってしまった。

「そっちこそ、今まで俺の言った事、覚えてます?」

今まで?

今までって、いつからの今まで?

目力に威圧されながら、頭のなかで考えていると、倉田くんが喉の奥でくくっと笑い声を立てた。

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