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ビタミン剤

第8章 食物連鎖



エプロンを着けてキッチンに立つ
智くんの後ろ姿はほんとかわいい。

背後からぎゅーて抱きしめたいなぁ
って思って、そっと近付いてたら
振り向きざまに智くんの握る
包丁の刃がこっちに向いてたから
おとなしくしとくことにした。

「アハハ
翔ちゃん今ビビったでしょ
おいらだっていつもぼーっとしてる
わけじゃないもんね。」

「さすがに今のはビビりました。」

「じゃあ後でいっぱいぎゅーって
してね。
今夜は一緒にお風呂はいろうね。
おいらが翔ちゃんの背中きれいに
洗ってあげる。」


グハァ!!
なんなんすか、この可愛い攻撃。

智くんにハートの矢でズバッと
射抜かれた瞬間、心臓で受けた
攻撃から反射的に電流が生みだされ
下半身に素早い指令を出されて
俺の元気な息子が
たいへんな事になりつつある。


「翔ちゃんこれ、運ぶの手伝って。」


「お、おう…」


やや前屈みになりながら、
カキフライの皿を落とさないように
慎重に運ぶから、めっちゃ不恰好。
コラコラッ
腕白過ぎるぞ、俺の下半身!



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