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ビタミン剤

第9章 金色の雨




「あ、ほら見て雅紀、金木犀。」


「え?なに翔ちゃん?」


「フロントガラスいっぱい金木犀の花だよ。
きっと雨と一緒に散って落ちてきたんだ。」

「ホントだね、もしかして
そのあまい香りってこの小さな花?」


「そうだよ。すっかり秋も深まった
季節になってんだな。
俺この花の香りきらいじゃないんだよな。」



翔ちゃんはフレグランスがけっこう好き

だから、俺も以前香り系の贈り物を
したらめっちゃ喜んでくれたんだ

それにしてもこんな小さな花が
こんなにもあまい香りを漂わせる
のってなんだか不思議


「金木犀の花って中国が原産で
たしか、このあまい香りを使って
お茶や、お菓子、お酒なんかも
あったと思うんだよな。」


「へえ、さすが翔ちゃん
なんでもしってるよねぇ。」


「北京オリンピックのときに
いろいろ読んだりした中の一つに
あったんだ。
けど、金木犀が雨と一緒に降って
きて、まるで金色の雨が降ってる
みたいじゃね?」


「うんホント、キレイな雨だね。
あ、そうだ。
翔ちゃん俺んちに帰る前にちょっと
寄り道するね。」


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