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ビタミン剤

第12章 カレイドスコープ




3人が口々にカレイドスコープの出来上がり
の賞賛の言葉を智くんに伝えている。
かなり凝った仕上がりのようで、
3人に覗かせてくれよとせがむが誰一人として
譲ってくれる気配がない。

俺はおおげさにため息を漏らし口を尖らせて
拗ねてみた。
手持ち無沙汰になったので新聞に顔を埋めて
いると、そっと足音を忍ばせて近づいてきた
智くんが耳元で囁く。


「翔ちゃん、昨日はごめんね。
ホントはね、翔ちゃんのもあるんだけど
でも、
翔ちゃんの分は翔ちゃん一人だけに見て
もらいたいから。」


耳元で囁く智くんの柔らかな声。


新聞を握る指先に力がこもってしまい勢い
あまって破りそうになるのを堪えて、
なんとか残った理性を保てた。


そこでようやく相葉ちゃんが自分の
カレイドスコープを差し出してくれた。



「翔ちゃんこれすっごいんだよ。
さすがリーダーっ!めちゃくちゃすごい
芸術作品になってるんだもん。
俺、これ家宝にしちゃう。
俺のはね、いろんな動物が出てきて
めちゃ可愛いできてるんだよ。」


「相葉さんあなたお馬鹿さんだからどうせ
三匹くらいしか解らなかったんでしょ。」


「ちゃんと5匹わかってますうー」



「あれ?10匹はいた筈なんだけど…」


「ウソだぁ !」


「ほら、やっぱりお馬鹿さんはこれだから。」


キャッキャッはしゃぐ楽屋内。
いつもの仲間でいつものじゃれあいを楽しん
でいた。

俺の仕上がりは…やっぱ気になるんだよな。





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