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ビタミン剤

第13章 ぼくのペット

Sside


ワンコロ、お前のタイミング最高だぜ
まったくもって天才犬だよ



焼きたての美味そうな肉がのった皿を前にして晩飯はおあずけ状態で結局トイレの後始末したのは俺。

潤は不貞腐れ気味になって先にワインを飲み出してた。ムードもなにもかもぶち壊してくれた無邪気なワンコロに乾杯してやりたいくらい。



肉は冷め気味でも、柔らかくて美味くてそれをしきりに褒めてあげても、潤は曖昧にしか笑顔を返してこない。

反対にすっきりしたワンコロはまた元気よく吠えてくるからゲージから出してやることにした。


部屋中を楽しそうに走り回ってるワンコロを見つめながら、潤がぽつりと漏らした独り言はあえて聞こえなかったことにしておく。



やっぱり…俺には無理かも。




順調に潤の気持ちは萎えてきてる

けれど、もっとしっかりと自覚して貰わないと意味は無いわけで


美味い肉を食べながら俺たちは互いに別々に
物思いの表情を浮かべて、それぞれの気持ちを
抱えながら夕飯の時間を過ごしていた。



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