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ビタミン剤

第13章 ぼくのペット

Jside


ワインと、温野菜のサラダをテーブルに運んで
ナイフ、フォークをセットして美味そうに焼き目のついた肉を皿に盛り付ける。


雰囲気やムードも翔さんは大切にしてくれるから
部屋の灯りは間接照明だけにして、テーブルには
アロマのキャンドルを灯して置いてくれている



アンアンアンアン

クーンクーンクーンクーン

フンフンフンフン

カイザーがなにやら落ち着かない様子を見せ部屋の中をうろうろし始めた。
俺がキッチンから肉の皿を持って来たちょうどその
タイミングに、なにやらあやしい動きをしだすから翔さんが慌てて抱き上げゲージの中へ連れて行ってくれた。



トイレにはなんとか間に合ったけど
せっかくの美味そうな肉の香りが…


カイザーに台無しにされてしまった。


込み上げてくる怒りは遣り場がなくて、生理的現象であってむしろ、仔犬がゲージの中で出来たことを
褒めてあげなくちゃいけないのに

甲斐甲斐しくその世話をぜんぶしてくれたのは
翔さんで、俺はただテーブルに肘をついてぼんやりとその様子を面白くないって顔して眺めてた。



…やっぱり俺には無理かも



ちいさくつぶやいた言葉は翔さんの耳にはたぶん届いていないと思う。



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