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ビタミン剤

第14章 day off




言いたい事を早口でまくし立てて、じゃあそろそろ行くからねとそそくさと玄関へ向かう。


「お兄ちゃんニノくん、よろしく頼みまーす。」

なるべく早くに帰って来いよって
背中に投げつけるように言うけど、たぶんハイヒールのかかとで玄関の隅っこの方にでも蹴飛ばしてるにちがいない
ったく、近ごろの専業主婦はどうなってんだよ。


「うーん、早くはムリかもぉ
午前様にはならないようにするからね。」

「ふざけんなよっ主婦のくせにっ。」

「翔ちゃん許してあげなよ。
舞ちゃんもいつもの事じゃないからお願いしてるんだよ、海外の友人なんてなかなか会えないんだし、
舞ちゃんたのしんできてね。」


「ありがとうニノくん
お兄ちゃんにはもったいないくらいの優しいお嫁さんだよね。あ、2人ともその指輪とってもステキ
お兄ちゃんの趣味にしてはなかなかいいかも。
じゃあ、お母さんにメールしときまーす。」

「うるせぇさっさと行けよ!」


海の小さな手をバイバイってふってあげて妹を優しく見送ってくれるニノ。
せっかくの休みなのにこんなことに巻き込んじゃって、ごめんなって言うと首を左右に振る。


「翔ちゃんと一緒に来れてるんだもん。
海くんもこんなに大きくなってたんだねぇ。」


確かに産まれて初めて会いに来たのは、退院してまだ妹が実家に居てた時。
そん時はふにゃふにゃ過ぎて抱くのがめっちゃこわかったくらいで、どうにか腕の中にいれてもらって抱っこした感じだった。


「赤ちゃんって毎日毎日大きくなってるんだね。
舞ちゃん似かな、お目目が大きくてまつ毛も長くて
かわいいし。おでこが広いとこは翔ちゃんにも似てるかも。」


ニノの優しい微笑みが海に注がれてる
ほーら海くん、翔おじちゃんにも抱っこしてもらおうねぇなんて言われると正直戸惑いが先に来て


「ほら、翔ちゃんも眉毛への字にして笑ってよ。
手を出して抱っこして落とさないようにしてあげてね。」

ニノのどこからこんな母性が湧いてくるんだろう
俺はぎこちない手つきで海を抱っこしながら部屋の中を歩きまわらされた。

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