テキストサイズ

ビタミン剤

第23章 ホットミルク



「ほっとけない
潤、おまえをほっとくなんて出来ない」


「…俺が…嵐だからでしょ?
メンバーだからっ、グループだからっ
俺が迷惑かけたらみんなが困るからっ!」

「ああ、それも一理ある。
けど、おまえは忘れてるみたいだから
もう一度言ってやるよ」

「なに…を?」

睨みつけるような瞳
くちびるが震え出しそうになるから
ぐっと噛み締めてしまう。


「潤、もう酒に逃げるな、女にもだ。
逃げるなら俺のところに逃げて来いっ
俺ならおまえをしあわせにできる
前にも伝えたはずだ
潤、俺はおまえが好きだ
俺の気持ちはあの頃から1ミリだって
変わっちゃいないっ」


強い意志を持つ眼差しはあの日と同じ。

あの日翔くんから逃げ出したのは
たぶん怖かったんだ

戯れついて好きだ好きだと追い回してた
ガキだった自分の、翔くんへの
あこがれ的な感情が

いつしか恋愛感情に近しいものにまで
変化してしまってきてたことに
キスされたことで
気が付いてしまって怖気づいた。

俺らは男同士、メンバー同士

翔くんに甘えてて寄りかかり過ぎてた
自分に気付き始めた頃だったから

芽生え始めた感情を封印して
忘れたフリをして
あの日に置き去りにしてきたんだ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ