ビタミン剤
第23章 ホットミルク
これっぽっちも成長してない。
嵐として駆け出していかなきゃいけなかった
大切な時期だったあの頃
同列に並んで足並みを揃える事にやたらと
反発を覚えて無駄に調和を乱したり、
ロケ先ではよくスタッフと衝突もしていた。
その度に翔くんが間に入って
その場をおさめたり、
時には俺と一緒に深々と頭を下げて
謝ったりしてくれてたんだ。
ある大御所とのロケ撮影の時の寝坊で
大遅刻したときだって
俺に代わって翔くんがロケをしてくれて
理由も体調不良だって言ってくれてて
後日、大御所さんとの間を取り成して
くれたりもした。
俺は今まで翔くんに迷惑しかかけてなくて
心配ばかりを増やしてきてた。
俯いて握り締めた拳を胸におしつけてると
心配そうに背中をさすってくれる
「大丈夫か?潤。
胸、くるしいのか?」
「…なんで…
もう俺のことなんて…
ほっといてくれたら…いいのに」
呼びつけといてずいぶん勝手な言い草
翔くんの優しさにつけ込んでるのは俺のほうで。
自分の打算ばかりが浮き彫りになって
マジでイヤになる。