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ビタミン剤

第25章 a mole tunnel


ドアを静かに閉める
そっと横目で見ると上気してる頬の色
物言いたげに潤の瞳が揺れていた。


そんな目で見るな!


なんにもわかってないクセに
なんにも知らないクセに
なんでおまえがそんな目で見るんだよっ!

ジュニア時代は俺や他の奴らに
絶対翔くんには近寄らせないって
おまえが独占状態にして、
周りにも噛み付くようにあんなに吠えてた癖に
あんなにじゃれ付いて、つきまとって
追いかけまわして…翔くんの事を振り回してた



松潤人気が出だしたら手のひら返すようにして
おまえの方から勝手に離れていった癖に


おまえにはあの彼女がいるだろ?
純愛カップルごっこでもなんでもしてろよ

ドラマや映画の中の
誰もがうらやむお似合いの二人

おまえが手に入れたがってた
爽やかでかっこいい
アイドルのイメージ通りになれた癖に


今さら、どうして?

置き去りにして切り捨てた
あの人の事を気にするんだよ
おまえは自分勝手で狡いヤツだよっ!

心の中で親友に向かってそう詰り飛ばした。




エンジン音がして
発車するのかと思ってすこし離れてると
助手席から俺のことを呼ぶ翔くんの声。


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